特に、寝袋に記載されている「快適使用温度」よりも気温が高いはずなのに、なぜか体が冷えて眠れない。こんな体験をお持ちの方に向けて、この記事では「薄着」が寝袋での快眠のポイントになる理由を解説します。
また、持っている寝袋では寒い時の適切な温かくする方法も紹介するのでぜひ最後まで読んでみてください!
もくじ
外気温3℃なのにシームレス バロウバッグ #0で寒かった経験

シームレス バロウバッグ #0は快適温度−8℃のモンベルのシュラフ(寝袋)です。当時のキャンプ場の気温は最低気温が3℃だったので、この時はオーバースペックの寝袋です。
この日、筆者はテントに入る前の晩酌ですっかり体が冷え切ったので、ダウンジャケットとフリースを重ね着したまま寝袋に入りました。
熱くなったら脱ごうと思い安心して寝袋に入ったのですが、逆に夜中に寒さで目が覚めてしまい体がガタガタ震えるほどでした。
寝袋が寒い原因はダウンを着たから

寝袋は体の熱を利用して保温しますが、ダウンやフリースなどを重ね着すると体の熱が外に放出されず、寝袋内部の空気を十分に温めることができなくなります。その結果、逆に冷えを感じることがあるのです。
つまり寝袋で寝る際は、体温を外に放出できるように薄着で寝るのが正解。良かれと思ってたくさん着ると寝袋の性能が発揮されずに逆に寒くなるというのは知らない人が多い驚きの事実です。
寝袋で「薄着」が正解な理由

1.寝袋の仕組みを理解する
寝袋の保温機能は、以下のような仕組みに基づいています。- 断熱層を形成する
寝袋内の中綿(ダウンや化繊)は、空気を閉じ込めて断熱層を作ります。この断熱層が外気の冷たさを遮断し、体の熱を保持します。 - 体熱を利用する
寝袋は自分の体温を熱源にして「暖房」のように使い、その熱で中の空気を暖めます。
2.着込みすぎは熱伝導を妨げる
寝袋は人間の体が放つ熱を利用して内部の空気を温めます。この空気が寝袋内に閉じ込められることで、体温が一定に保たれ、快適な温度環境が作られます。しかし、着込みすぎると次のような問題が生じます。- 熱が遮断される
ダウンジャケットや厚手のフリースを着た状態では、体熱が服に閉じ込められて寝袋の中に伝わりにくくなります。その結果、寝袋内部が十分に温まらず、「寒い」と感じるのです。 - 余計なスペースが増える
厚手の衣類を着て寝袋に入ると、内部の空間が広がりすぎてしまい、寝袋の断熱性能が落ちます。断熱は密閉された空気層が重要な役割を果たすため、余計な空間があると効率が悪化します。
寝袋の温度設定は「薄着」での使用を想定している

- 中綿の役割
ダウンや化繊の中綿は、体から放出された熱を閉じ込める役割を持っています。薄着の状態で直接中綿に熱を伝えることで、寝袋全体が均等に温まりやすくなります。 - 快適温度の基準
寝袋メーカーが設定している「快適使用温度」は、薄手のベースレイヤー(長袖・長ズボン)を着用した状態を基準にしています。着込みすぎると、この基準から外れる結果となり、期待通りの性能が得られなくなる場合があります。
ダウンでも化繊でも薄着でOK
基本的にダウンの寝袋でも化繊の寝袋でも体温が寝袋に届くような薄着でOKです。そもそもダウンと化繊の違いがいまいちピンときていない人はこの機会に違いをおさらいしてみましょうダウン寝袋の特徴
ダウン寝袋は、鳥(主にガチョウやアヒル)の羽毛を中綿として使用した寝袋です。以下にその特徴を詳しく説明します。特徴 | 詳細 |
---|---|
軽量・コンパクト | ダウンは非常に軽く、圧縮性が高いため、収納時に小さくまとまる |
保温性が高い | 羽毛のふくらみ(フィルパワー)が断熱層を作り、高い保温性能を発揮 |
湿気に弱い | 水に濡れると羽毛がへたり、保温性能が大幅に低下。湿度が高い環境では注意が必要 |
耐久性が高い | 適切に手入れをすれば、長期間使用可能。洗濯や保管には少し手間がかかりますが、寿命が長い |
価格が高め | 天然素材を使用しているため、化繊寝袋に比べて高価。特に高フィルパワーのダウンは値段が上がる |
ダウン寝袋が向いているシーン
- 軽量装備が求められる登山やバックパッキング
- 寒冷地での使用(例えば冬キャンプや高山でのテント泊)
- 乾燥した環境
ダウンは湿気に弱いですが、日本国内であればそれほど気にする必要はないでしょう。
2. 化繊寝袋の特徴
化繊寝袋は、ポリエステルなどの化学繊維を中綿として使用した寝袋です。以下はその特徴です。特徴 | 詳細 |
---|---|
湿気に強い | 化学繊維は水を吸いにくく、濡れてもある程度の保温性能を保つため、湿度が高い環境に適す。 |
メンテナンスが簡単 | 家庭用洗濯機で洗濯可能な場合が多く、手入れがしやすい。保管時もダウンほど気を使わなくてOK |
重量がある | ダウン寝袋に比べて重量があり、収納時も大きくなる |
保温性がやや劣る | 同じ重量・厚さの場合、ダウンほどの保温性能は期待できない |
価格が手頃 | ダウン寝袋に比べて安価。心者や頻繁に使用しない人におすすめ。 |
化繊寝袋が向いているシーン
- 湿気が多い環境(例えば梅雨時期のキャンプや川沿いのキャンプ場)
- 予算を抑えたい場合
- 汚れやすいシーン(ファミリーキャンプや車中泊など)
- 手入れの手間を減らしたい場合
3. ダウン寝袋と化繊寝袋の比較表
ダウンの寝袋と化繊の寝袋の違いを表にまとめました。基本的に軽くてコンパクトになるのがダウンの寝袋で、思いが安くて洗濯できるのが化繊の寝袋だと覚えておけばOK。使われている素材を覚えておけばそれぞれの特徴を思い出せるでしょう。
特徴 | ダウン寝袋 | 化繊寝袋 |
---|---|---|
保温性能 | ◎ 高い | ○ 十分だがダウンには劣る |
軽量性 | ◎ 非常に軽い | △ やや重い |
圧縮性 | ◎ 小さく収納可能 | △ 大きくなる |
湿気への耐性 | × 湿気に弱い | ◎ 湿気に強い |
手入れのしやすさ | △ 洗濯や保管に手間がかかる | ◎ 簡単 |
耐久性 | ◎ 長期間使える | ○ 中程度 |
価格 | × 高価 | ◎ 手頃 |
4. ダウンと化繊どちらを選べばいい?
使用目的や環境、予算に応じて選びましょう。週末のキャンプや車中泊の場合は化繊の寝袋で十分です。ダウンの寝袋はコンパクトになるので、バイク・自転車でキャンプに行く際には重宝します。- ダウン寝袋が向いている人
軽量・コンパクトさを重視し、寒冷地での高い保温性能を求める人におすすめ。登山やバイク・自転車旅で積載量が限ららている場合はコンパクトになるダウンの寝袋を選びましょう。ただし、濡らすと乾きにくく定期的に手入れが必要です。 - 化繊寝袋が向いている人
コストパフォーマンスを重視し、湿気が多い環境や頻繁に洗濯が必要なシーンで使いたい人は化繊寝袋がおすすめ。車での旅やキャンプで積載量に余裕がある場合は化繊寝袋で十分です。
価格もダウンの2/3〜半額程度で買えるのでお財布にも優しい寝袋です。
お子様の寝袋の場合は飲み物をこぼしたり、おねしょのリスクを考えると洗濯できる化繊一択です。
寝袋で寝る時のベストな服!

汗や皮脂を寝袋に吸わせると匂いや劣化の原因になるので、素肌が触れないように長袖長ズボンがおすすめです。
衣類の種類 | おすすめかどうか | 理由 |
---|---|---|
ベースレイヤー(長袖シャツ・長ズボン) | ◎ | 汗を吸収し、体温調節を助ける |
厚手の靴下 | ◎ | 足元の保温が重要 |
ネックウォーマー | ◎ | 顔と首は冷気に触れやすいのでネックウォーマーで保温すると良い |
ダウンジャケット | × | 熱を閉じ込めすぎ、寝袋内部を温められない |
フリース | △ | 寝袋の快適温度より寒い場合のみ使用 |
下着のみ | × | 汗冷えや摩擦で逆に寒く感じることがある。汗・皮脂で匂いの原因にも |
ポイントは、通気性が良く、吸湿性の高い素材のベースレイヤーを着用することです。また、寒さが心配な場合は薄手のインナーを重ねる程度にとどめましょう。
体温を遮断しなければスウェットでもジャージでも大丈夫です。
寝袋が寒い時の正しい対策方法

寝袋が寒い場合の正しい対策を紹介するので参考にしてみてください。
毛布やブランケットの活用法

- おすすめ素材:フリースやウール、ダウン素材のブランケットが軽量で保温性が高い。
- ポイント:寝袋に直接触れさせることで、空気の層を効率的に活用できます。
ブランケットに関する記事
温かい飲み物を摂る

湯たんぽ・カイロを使う

保温力が高い寝袋と使用すれば抜群の相性です。カイロの場合は背中、腹部、または足元に貼ることで効率よく体を温めます。 注意点として、直接肌に触れないようにし、低温やけどに気を付けてください。

アウトドアで使う湯たんぽなら直火で温められるものがおすすめ!

大きなふたが中央についていて、水の排入出がしやすいのが特徴です。夏場は氷を入れて氷たんぽとして利用する人も多いようです。
寝袋に入る前に十分体を温める

寝袋に入る前に、温泉・焚き火・軽い運動などで体を温めてから入りましょう。ストレッチやジャンプ軽い屈伸だけでも血流が良くなって寝袋に入ってからポカポカしてきます。
ただし、激しい運動は逆効果です。汗をかくと体温が下がる原因になるため、絶対に軽い運動にしておきましょう。
まとめ
- 寝袋で寝る時は薄着が正解!
- ダウン・化繊問わず薄着でOK
- 汗・皮脂は寝袋の劣化と匂いの原因だから長袖・長ズボンを着る
- 寝袋が寒い時は上から1枚ブランケット・毛布をかける