日帰り外遊びや自動販売機が近場に設置されている場合は心配は不要ですが、浄水器をバックやポケットに入れて持ち歩くだけで、川の水や湧き水を安全に濾過して飲むことができるようになります。
この記事では、登山やアウトドアの際に持ち歩けて災害時にも利用できるコンパクトな携帯浄水器を紹介します。
川の水飲んでも大丈夫?

奇麗に見える山の中の川であっても微生物やバクテリアなどが潜んでいる可能性があるので、濾過や煮沸せずに飲むのは絶対にやめましょう。
数十年前は「北海道の川の水はそのまま飲める」という話が広まった時代があったそうですが、北海道に大量に発生している「エゾキタキツネ」はエキノコックス症という恐ろしい病気を媒介しており、川の上流にキツネの死体があったりすると感染してしまいます。
エキノコックス症は症状の発症までに10年の潜伏期間があり、致死率が高い病気なので徹底的に予防しましょう。
川の水を飲む方法は2種類!

煮沸消毒が最も安価でシンプルに川の水を飲み水に変える方法ですが、細菌やバクテリアは殺せても不純物は取り除けていないので注意が必要です。
煮沸前の水をコーヒーフィルターに通すだけでも不純物をある程度取り除けるので実践してみてください。
平地なら 100 度 C で1分間沸騰させて殺菌することで細菌を死滅させられます。
標高 2000m 以上では気圧の関係で3分間沸騰させる必要があります。
標高 2000m 以上では気圧の関係で3分間沸騰させる必要があります。
浄水器は一瞬かつ安全
ここ最近の携帯浄水器の進化はすごくて、ペットボトル1本分の飲み水を10秒で濾過できるものもあります。煮沸よりも気軽に、短時間で飲み水を作れるのはありがたいです。
細菌やウイルスも除去できる浄水器も多く、コンパクトに収納できるのでアウトドアの際に1つバックに入れておくだけで安心感がありますよね。
川や湖など水源の場所を把握している場所に遊びに行く場合は、ペットボトルを持ち歩かずに、『飲み水を100%濾過した川の水』にするのもアリ!
アウトドアで携帯できる浄水器は3種類
キャンプなどのアウトドアの際に携帯できる浄水器は主に3種類。- 吸引(ストロー)タイプ・・・コンパクト重視
- ボトルタイプ・・・濾過水を持ち運ぶ
- ポンプ式・・・大量に濾過できる
吸引(ストロー)タイプ

とにかくコンパクトになるのが特徴で、製品によっては手のひらサイズでポケットに入るものもあります。
緊急時の時のために1つ持っておくと安心感があります。
その時必要な水分を補給するという目的の浄水器なので、浄水した水を持ち歩けないのがデメリットです。
浄水器自体がコンパクトなのでフィルターの濾過容量が少ないです。
ボトルタイプの浄水器に比べて、フィルターの交換をこまめにする必要があります。
ボトルタイプ

浄水器自体が水筒の形をしていて、川の水などを中に入れてフレンチプレスのコーヒーのように浄水フィルターで濾して濾過するタイプと、ストローで吸い上げながら濾過するタイプの2種類があります。
1度に一定量の飲み水を確保できて、濾過した水を持ち運べるので様々なアウトドアアクティビティで活躍します。
ポンプ式

大きなバックパックを背負うアクティビティであれば問題ないですが、ハイキングや釣りなど軽装なアウトドアにはあまり現実的ではないでしょう。
この3つの他にも1度に大量の水をろ過できる「自由落下タイプ」の浄水器も存在しますが、気軽に運べるサイズではないものが多いのでのでこの記事では取り扱いません。
浄水器選びのポイントは2つ!

フィルターは様々な素材のものがありますが、買うときにチェックするのは濾過できる物質です。
フィルターの除去物質
使用用途にもよりますが、科学物質や細菌・バクテリアを除去できるものを選べば間違いないです。登山や源流に近い場所などで人間の不法投棄などによる水質汚染がなさそうな場合は、細菌・バクテリア・寄生虫が除去できれば十分です。
パッケージや説明概要欄に除去物質が明記されていない場合は危険ですので買わないことをお勧めします。
自然界の水なので、動物の糞尿・死体・不法投棄による汚染物質の混入等が十分あり得ます。
細菌やバクテリアを除去できる性能が無いと命の危険があるので、ここだけは必ずチェックしましょう。
信頼できるメーカーが販売していて、アウトドア用・軍用等の浄水器であればまず大丈夫です。
意外と大変なメンテナンス
携帯浄水器はメンテナンスが意外と面倒なのがネック。基本的に使用後は完全に乾燥させることが重要です。
通気性の良いところに24~48時間乾燥させて完全に水気をとらないとカビる原因になるので注意が必要です。
フィルターの交換時期と何リットルの水をろ過できるか(濾過容量)は製品によって異なるので、ランニングコストが安く、メンテナンスがしやすいものを選びましょう。
アウトドアで使えるおすすめ携帯浄水器
実際に登山やアウトドア・キャンプで使える携帯浄水器を紹介します。ノーブランド品で、除去物質について明記されていないものや品質において不安が残るものは紹介しませんので安心して選んでみてください。
mont-bell|GRAYL(グレイル)

【有害物質除去率】
- ウイルス除去率 99.99%(ロタウイルス、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス)
- バクテリア除去率 99.9999%(大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、赤痢菌)
- 原虫除去率 99.9%(エキノコックス、ジアルジア、クリプトスポリジウム)
見た目は完全に水筒ですが、独自の浄水・ろ過システムにより、10秒で約500mLの水を浄化可能。
スリムで持ち運びしやすく、バックパックのポケットなどに入れて携行しやすい形状です。
ウイルスやエキノコックスも99.9%除去できる性能を持っているので、アウトドアの場でも安心して使用できます。
カラーデザインと容量が複数あるので、アウトドアでの遊び方によって選ぶことができます。
基本的にはサイズと重さ的に500㎖のウルトラプレスピュリファイヤーがおすすめです。
濾過した水をからのペットボトルに移せば1度に1リットルの飲み水を持ち歩けます。

ろ過時間が25秒以上になったらカートリッジの交換時期です。
LIFESAVER(ライフセーバー)

【有害物質除去率】
- 細菌低減率:99.9999%
- ウイルス低減率:99.99%
- 原シスト低減率:99.99%
個人のアウトドアアクティビティ向けなのは【LifeSaver Bottle】と【LifeSaver Liberty】の2種類です。

ライフセーバーボトル | ライフセーバーリバティ | |
濾過時間 | 2L/分 | 1.2L/分 |
最大濾過水量 | 4,000L | 2,000L |
乾燥重量 | 635g | 425g |
ボトル容量 | 750ml | 400ml |
水の汲み方 | 底の蓋を外して水を注ぐ | ホースを使って入れる |
また、水の汲み方に違いがあるので注意してください。
ボトルの方が4000Lの水をろ過できるので濾過単価が安いです。
また、どちらの製品も【フェイルセーフ技術】が採用されていて、フィルターが上限に達すると自動的に通水を停止するようになっています。
ある日突全停止する可能性があるので、予備のフィルターをもっておくと良いでしょう。
フィルターは未開封で10年保存可能です。
seychelle(セイシェル) 携帯浄水ボトル

【有害物質除去率】
- 原生動物/バクテリア/ウィルス/微粒子/化学物質/匂い/味/重金属を除去
- 放射性物質(セシウム137・134)99.8%除去
- 不純物を最大99.99%以上除去
コンパクトになるのが最大の特徴で、大きさ228×80mm、重さは128.5gとかなり軽いことがわかります。
フィルター自体も小さいので、濾過容量は少なめの380ℓです。
seychelle(セイシェル) サバイバルプロ

軍人の水筒のような武骨なデザインですが、本体の重さは200gしかないので携帯しやすいです。
濾過容量は最大380ℓと↑のボトルタイプと同じ性能です。

『ザ・サバイバル』な雰囲気があってカッコイイですね。
SAWYER マイクロスクィーズフィルターSP2129

【有害物質除去率】
- 細菌やエキノコックスなどの寄生虫を99.99999%除去
- 水に溶けているカルシウムやマグネシウム、放射性物質や工場廃水、化学物質が溶け込んでいる可能性のある水、細菌よりもさらに微細なウイルスは除去できません。

付属のパウチもをフィルターに巻き付けて持ち運ぶことも可能で、パウチが汚れたり破れたら単体購入もできます。
ソーヤーの高い洗浄能力は世界中で評価されていて、災害被災地や難民キャンプなど、世界80カ国以上の国と地域で使用されています。

『バックフラッシュ』という、逆方向から奇麗な水を注入してフィルター内の不純物を取り除く独自技術の洗浄を行うと、フィルター機能が98%回復します。
このシステムにより、38万リットルという大量の水をろ過することを可能にしました。
前段でも記載の通り、細菌よりも微細なウイルスの他、放射性物質や科学物質は除去できないので、注意してください。
MSR ミニワークスEX

【有害物質除去率】
- 原生動物・バクテリアを除去
- 微粒子・化学薬品・毒素・匂いを除去
- ウイルスは除去できません
浄水器1つとっても種類が豊富で、様々なアクセサリを展開しています。
ミニワークスEXは、扱いやすく耐久性の高いセラミックフィルターを使用している携帯浄水器です。
MSRの製品もフィルターをセルフクリーニングできるようになっているので、濾過容量が2000ℓとかなりのコストパフォーマンスを誇ります。
1分間で1Lの水を浄水可能で、ホースの先端を水源に入れてレバーをシコシコ握ると浄水された水が排出されます。
MSR トレイルショット マイクロフィルター

【有害物質除去率】
- 原生動物・バクテリアを除去
- 微粒子を除去
- 化学薬品/毒素(味/臭い)・ウイルスは除去できません
本体重量が142gとかなりのコンパクトサイズにも関わらず、2000Lの水をろ過することが可能です。
コンパクトながらも、1分間に1Lの水をろ過するパワフルさもあります。
本体サイズが14×6.3㎝なので、ポケットにも収納可能なサイズです。
除去可能物質は「化学薬品」を除去できない点ではミニワークスEXに劣りますが、登山中の小川などの科学物質が混入していないと確信を持てる水であれば安全に飲めます。
カタダイン ビーフリー 0.6L

【有害物質除去率】
- 微生物を99.9%除去
- バクテリアを99.9%除去
- 放射物質・化学物質については明記無し
浄水器の他にも多種多様なオーガニック保存食(パウチ食)や登山・キャンプで使用するクックギアなどを販売しています。
保存食やクックギアは日本で購入することが難しいですが、浄水器はAmazonと楽天で取り扱っています。

コンパクトながら、1000Lの水をろ過するフィルター性能で0.6Lと1.0Lの2つのサイズから選べます。
1.0Lサイズでも75gと超軽量。
フィルターカートリッジ単体でも購入可能なので、環境に優しいですね。
LifeStraw ライフストロー パーソナル

【有害物質除去率】
- 細菌の99.9999%を除去
- 原虫及び寄生虫除去率99.9%
- ウイルスや重金属、化学物質は濾過できません
3000円台で購入可能で、約1000Lの水をろ過することが可能で水を吸い込めなくなったら使用不能になります。

安価に入手可能なので、緊急時用に1つ持っておくのもありですね。
まとめ
登山やアウトドアで使える携帯浄水器を9つ紹介しました。筆者の個人的な意見ですが、インターネットで調べてもヒットしないような人気のない自然の中で遊ぶ人は濾過性能は低い物でも大丈夫。
細菌や寄生虫が除去できれば安心して飲んで良いでしょう。
逆に、川の上流に工場や集落・民家などがあるエリアで遊ぶ場合には濾過性能の高いものを選びましょう。
街から簡単に行けるようなキャンプ場等、人が集まる場合は何が捨てられるかわからないので、高性能の浄水器をお勧めします。