2023年度に日本国内で熊の被害にあった人は212人となり過去最悪の年でした。
年々被害の拡大を続けている中で、アウトドアを楽しむのであれば熊と対峙した時の備えは必ず必要です。
出会わない努力も重要ですが、出会ってしまったときの対処法を用意してシミュレーションしておくことも非常に重要。
今回は、狩猟免許を所持している筆者が自身の経験と周りの猟師仲間に聞いた評判の高い熊撃退スプレーを5点厳選し、その特徴や使い方を徹底解説します。
この記事読めば、次のアウトドアの冒険も安心して楽しめること間違いなしです。
2023年はクマ被害は過去最悪!
環境省が12月1日に公表したデータによれば、4月から11月までにクマによる被害を受けた人は全国で212人にのぼり、過去最悪の記録を更新しました。統計を取り始めた2006年度以来、初めて200人を超えた歴史的に見ても最悪な年でした。
クマは例年12月には冬眠に入るとされていますが、冬眠中でも被害が出ることがあるため季節を問わず、アウトドアの際には熊撃退スプレーを携帯することが非常に大切です。
熊撃退スプレーは、遭遇時に即座に使用できる手軽さと強力な効果を持つため、これからの時代のアウトドア活動における必須アイテムとなります。
効果的な熊撃退スプレーを選ぶポイント

特にアメリカ環境保護庁(EPA)に登録済の製品は安心して使用できるので、おすすめです。 [aside type=”boader”]
- 射程距離:射程距離7.6m以上あれば安心
- 持続時間:スプレーの噴射時間は6秒以上が望ましい
- 携帯性:軽量で持ち運びやすいものが便利
- EPA登録製品:アメリカ政府が認めたクマ撃退スプレー
グリズリー大国アメリカから学ぶクマ対策

北海道のヒグマの数が約1万頭といわれているので、100倍近い数のグリズリー(ヒグマ)が生息していることになります。
アメリカは面積が広大で、動物が生息する土地も日本よりはるかに広いので生息数が多いのは当然。
グリズリー対策に関する歴史も日本よりも深く、日本と違いクマ撃退スプレーに関する基準がグリズリーベア委員会(IGBC)によって明確に設けられていて、アメリカ製のクマ撃退スプレーは世界中に流通しています。
IGBCに認可されるには、特定の基準を満たし、飼育下のハイイログマを使用した生きたクマのテストに「合格」する必要があります。
実際に生きたクマを使用したテストをして、効果が確認できた製品のみが認可されているのでクマ撃退スプレーを選ぶ際はIGBCに認可されている製品を選ぶのがおすすめ。
IGBCに認可されると、アメリカ環境保護庁(EPA)に登録された商品としてお墨付きを得て販売されるので品質が保証されます。
こういった理由から、アメリカの「EPA登録済」のクマ撃退スプレーを購入するようにしましょう。
【猟師も使う】EPA登録済クマ撃退スプレー5選

基本的に性能は5つとも保証されていて有効性のある熊撃退スプレーなのでどれを選んでもOKです。
噴射時間や飛距離が製品ごとに異なるので、自身のアウトドア活動に合わせたものを選んでみてください。
| 商品名 | 内容量 | 噴出距離 | 成分濃度 | 使用期間 | 噴出時間 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| フロンティアーズマン | 234mL・272mL | 9m・10.5m | 2% | 製造から4年 | 5秒 | 16,990円 |
| BEAR ATTAC | 134g | 約7-8m | 不明 | 製造から3年 | 約5-7秒 | 17,600円 |
| カウンターアサルト | 230g | 9m | 2% | 製造から4年 | 7.2秒 | 15,600円 |
| UDAP | 225g | 9m | 2% | 製造から4年 | 4秒 | 8,800円 |
| ガードアラスカ | 255g | 6m | 1.6% | 役2年間 | 9秒 | 国内発売無し |
噴出距離最長:フロンティアーズマン
| 成分 | カプサイシン2% |
| 内容量 | 234mL・272mL |
| 噴射量 | 46mL/s・54mL/s |
| 噴射距離 | 9m・10.5m |
| 噴射時間 | 約5秒 |
| 有効期限 | 製造から4年 |
クマ撃退スプレーだけではなく、対人専用催涙スプレーなど、世界中のレンジャーや警察も使用する製品を開発している会社でクマ撃退スプレーも世界中に愛用者がいます。
自社研究所で厳格な品質管理と安全性の試験を行い、天然成分を主とする製品(カプサイシン)を製造しているので動物・環境に優しいです。
国内の登山ブランド「mont-bell」でも推奨されている熊撃退スプレーで、国内のネイチャーガイドスタッフもよく携帯しています。
容量272mLのモデルは10.5mと他社製品と比較しても最も長い飛距離なので、クマと対峙した際に慌てる事無く使用できます。
また、噴霧した霧は52g/sと非常に濃密で他社製品と比べてもかなり強力です。
BEAR ATTAC

| 成分 | トウガラシエキス |
| 内容量 | 134g |
| 噴射距離 | 約7-8m |
| 噴射時間 | 約5-7秒 |
| 有効期限 | 製造から3年 |
セイバー社の商品でラベルに一部日本語が使われているので、日本向けに販売されている商品です。
フロンティアーズマンよりもサイズがコンパクトなので飛距離は劣るので、心配な方はフロンティアーズマンがおすすめ。
軽く、コンパクトに携帯したい人はこちらがおすすめです。
カウンターアサルト
| 成分 | カプサイシン2% |
| 内容量 | 230g |
| 噴射距離 | 9.6m |
| 噴射時間 | 約7秒 |
| 有効期限 | 製造から4年 |
世界で初めてカプサイシンを用いて熊撃退スプレーとして開発された、米国製の元祖熊撃退スプレーです。
使用期限が4年と長く、7秒間噴射できるのでいざというときにも安心です。
バランスタイプ:UDAP
| 成分 | カプサイシン2% |
| 内容量 | 7.9oz (230g) |
| 噴射距離 | 9.0m |
| 噴射時間 | 約4秒 |
| 有効期限 | 製造から約4年 |
UDAPからは3種類のサイズの熊撃退スプレーが販売されていますが、当記事作成時点で国内で購入できるのは1番小さいサイズの7.9オンス(223g)だけです(Amazon)。
9.0mと十分な飛距離があるので、余裕をもって噴射できます。
ガードアラスカ
| 成分 | カプサイシン1.6% |
| 内容量 | 9oz (255g) |
| 噴射距離 | 6m |
| 噴射時間 | 9秒 |
| 有効期限 | 約2年間 |
9秒間の噴射時間はEPA登録製品の中でも最も長いですが、それは同時に1秒当たりに噴出されるのカプサイシン濃度が薄いことも意味します。
9秒間噴出出来るので、クマが出没する地域への長期間の旅行で複数回の使用が必要になる可能性がある場合はおすすめのクマ撃退スプレーです。
Amazonや楽天では取り扱っていない商品なので、通販では手に入れにくいです。
5つのクマ撃退スプレーの特徴
アメリカの環境省(EPA)に登録されている5つのクマ撃退スプレーをグラフにしました。値段を気にしなければ、SABRE社のフロンティアーズマンが最も優れたスプレーであることがわかります。
スプレーを噴出できる時間はガードアラスカが最も長いので、1撃で追い払う自信がない人にはおすすめです。
また、噴射時間が長いので携帯している最中やバックに入れている最中に誤射してしまった場合に、まだ使用できるという安心感があります。
絶対あってはならないのですが、この誤射はたまーーーーに起こってしまいます。
山や川を歩く際はいつでもスプレーを取り出せるように、ウエストポーチやベルトホルダーで露出した状態で携帯しているので、どこかにひっかけてピンロックが外れて誤射してしまうことが稀にあるのです。
誤射すると目などの粘膜に激痛が走るので十分注意してください。



北海道以外ではツキノワグマ用を買うべきなのか

アメリカの環境保護庁(EPA)が認める製品は、【クマを傷つけずに追い払うもの】を製品登録していて、クマの種類で使い分けることを推奨している文は1文もありません。
全てのクマに効果があるとしているので、ヒグマでもツキノワグマでも使用可能という解釈です。
日本国内では、ヒグマとツキノワグマの体格差からツキノワグマには専用の効果(カプサイシン濃度)の薄いものを使うべきだという声がありますが、この考え方には疑問があります。
幼いヒグマはツキノワグマの成獣よりも小さいし、大きなツキノワグマは若いヒグマ並みのサイズのものもいます。
そして日本国内で、人の命を奪っているのはツキノワグマの方が多いという現実があります。
北海道と本州の人口とクマの数の違いも考慮しなくてはなりませんが、ツキノワグマに人間が殺されることもあり得るので「クマに優しいスプレーを」なんて言ってる場合ではないと筆者は考えます。
熊撃退スプレーを使用しなくてはいけない状況は、自身の命が危険な時であるのは明白なので「より効果の強いスプレー」を使用するべきでしょう。
まとめ
筆者は北海道で産まれ育ち、幼いころから週末は川と山で遊び現在は狩猟免許を所持してアウトドア活動を楽しんでいます。アウトドア活動の際は必ずクマ撃退スプレーを所持していて、何度もヒグマに遭遇したことがありますがスプレーを使用する状況になったことは1度もありません。
99%(筆者の場合は100%)のクマは人間に気が付くと一目散に逃げていきます。
近年はクマが人を襲うニュースが多く、ちょっとしたアウトドアアクティビティをするのも怖くなってしまいますよね。
しかし、日本全国では毎日数千~数万人の人が森・川・山で釣りをしたり山菜取りをしたり狩猟をしたりしています。
そんな状況でもクマに遭遇する人はごく一部で、襲われる人はさらにごく一部。
対策を講じずに森に入るのは危険ですが、しっかりとした準備・対策を行えばアウトドア活動は癒しや成長を与えてくれる何物にも代えがたい最高の体験です。
リスク管理をしっかりして地球で遊びましょう!


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